ビデオを見た人は1週間後に突然死

都市伝説には、オカルト要素がたっぷりとある話ばかりだ。その中でも、真実味や身近な物、誰でも手に取ったり、見たことがあるものだとより真実味を帯び、なお一層都市伝説は広まりやすい。例えば、大ヒットした映画「リング」はビデオテープを見た人は1週間後に突然死をする。

ここにも身近な物「ビデオテープ」というキーワードがある。映画「リング」よりも前、1976年にアメリカで公開された『スナッフ』という映画で、60年代末から70年代の初めに殺人カルト集団を率いたチャールズーマンソン(被害者には映画監督ロマンーポランスキーの妻で、女優のシャロンーテートもいる。彼女は妊娠していた)をモデルに描かれている。

だが、この映画は誰が見ても「駄作」というしかなかった。何せ、ラストシーンのあとに監督の「カット!」という声が入っているような、まともな編集すらできていない代物だったのだ。ところが、映画が終わったと思わせたその後、フィルムのなかである異変が起こる。

なんと監督を含む撮影スタッフが、主演女優を押さえつけ、指を切断したり内臓を切り裂いて殺してしまったのである。世間はこの衝撃的な結末に震撼、上映禁止を叫ぶ市民によるデモが各地で行なわれた。しかしこの話にはウラがあった。

じつはデモも含め、すべてが配給会社の「やらせ」だったのである。もともとこの映画はアルゼンチンでつくられた作品だったのだが、これが底抜けにひどい出来。そこで宣伝のために一計を案じた制作者側が殺人シーンの追加とやらせデモを計画。

さらに「命の安い南米から輸入された殺人フィルム」と銘打って世に送り出したところ、思惑どおり大ヒットしたというわけだ。この一件は、映像がカメラワークや編集技術を駆使し、舞台設定(煽動・洗脳)を整えれば、いくらでも「リアリティ」を醸すことができるという象徴的な例である。

観客をラストシーンのあとの事件の目撃者にさせ真実味を帯びさせている。この手の本物の映像を「スナッフフィルム」と言い、この呼び方が一般的に広まったのはこの映画も一役を担っている。スナッフというのは、ロウソクを吹き消す擬音語で、イギリスでは「殺す」のスラングとなった。

単にオカルトだけの話だと、誰も信じないどころか鼻で笑われる子供だましになるのだが、そこに身近な物や日常を利用することによって真実味を持たせることにより都市伝説はあたかも真実のようになるのである。